小狡さと呼ぶか戦略的とよぶか

2014年07月22日

中二の通知表も一部判明した先週。
どう考えても定期テストの得点通りに評価されていたなら通知表評価が4か5になっておかしくない生徒の英語が3。
訪ねてみるとノート提出をしていなかったとのこと。
また、全体的に副教科(最近は4教科というのですかね)の得点が低い傾向も見受けられました。
まだ内申点の重要性に意識が向かない2年生。授業中に睡眠していると軽く言う生徒もいました。塾では積極的に学習しようという姿勢が見えるだけに、やれやれ、まだまだ「子供」やなあと嘆息しつつ次のような話をしました。

「ええとね、もう15年ほど前に高校へ送り出した女性の教え子がいましてね。彼女は真面目な子だったんですが、不器用な子だったので特に副教科の実技が苦手でした。筆記テストはちゃんとがんばって高得点を取っていたんですがね。どうも通知表の評価が今ひとつ。そこで彼女は先生に積極性をアピールしようと思ったわけです。
どうしたか。
期末テストの前になると職員室を頻繁に訪れて苦手な副教科の先生に質問するわけです。さっきの授業のここがよくわかりません。とか、配られたプリントのここはどう覚えたらいいですか。とか。そのおかげかどうかわかりませんが、副教科の通知表評価がほとんどオール5になりました。それを3年生まで維持しました。失礼ながら副教科をそんなに質問に来る生徒なんていないでしょう。充分先生に積極性をアピールできたと思いますよ。
みなさん、彼女のこの行為、小狡いと思いますか、引くわ~とか『いい子ちゃん』と思いますかね。思うとしたらなぜ?本心から出た行動じゃないから?
では本心からつまらない、ダルいと思える授業なら私語しまくったり、爆睡したりするのが正直者と言えるのでしょうかね。僕はそう思いませんが。そのときの自分の機嫌を丸出しにしてなんとも思わないのはガキの証拠です。
僕は彼女の行動は『戦略的』だと思います。学校の先生だって人間です。授業中に寝てるか遊んでるかしてる奴と、しっかり授業受けたうえに質問にまで来る生徒と、どちらに好印象を持つかね?同じことをやれとは決して言いませんが、戦略的に考えて行動するのは小狡いことではないと思うよ。」

さて、生徒はドン引きしたかというと大半の生徒は図らずも興味津々で聞いていました。大人からこういう話を堂々と言われたことがなかったのかも知れません。こういうことも生徒が自分のことを客観的に見るためのいい機会だったと思っています。

ところでこの15年ほど前の女子学生の名誉のために書いておきます。
彼女の「職員室詣」が評価されたのも、それが表層だけのゴマすりの意識ではなく、何とか成績を上げたいという必死の思いが先生にも通じたからに違いありません。
それは彼女が就職してからも失敗を繰り返しながら、誠実に仕事を頑張り続けて結果を出していることからも明らかです。おべんちゃらだけでごまかしながらやり過ごせるほど社会は甘くありません。
彼女は今、日本最大手の製薬会社で教育係のような仕事をしています。女性管理職候補です。

今でもイヤミなところや驕り高ぶったところが見受けられない、珍しい人物です。
そして毎年年末に会って、一年間のバカ話を聞かせてくれる、数少ない僕の友人のようなものでもあります。